GeoConverterPro 仮想操作マニュアル

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TOKYO~JGD2024Bまでの座標変換機能をGeoDiveExa用に作成したが、高機能すぎるので座標変換機能部分のみ抜粋して仮想アプリ(GeoConverterPro)を作成してみた。需要があれば市販するかな? なおGeoDiveExaはNetMAUIで作成しているが、GeoConverterProはSwiftUIで作成している。c#からSwiftへの言語変換などGitHub CopilotのClaude Sonnet 4.5を最も多く使用した。本当に便利な世の中ですね。なお、ここで説明している事の殆どはGeoDiveExaで実現している機能であり、RTKーGPSの高精度座標を使用したい場合はGeoDiveExaを利用して下さい。

1.アプリケーション概要

GeoConverterProは、日本の各種測地系間で座標変換を行うプロフェッショナル向けのiOSアプリケーションです。GPSで取得した位置情報や手動で入力した座標を、複数の座標系に一括で変換し、地図上での確認やデータの保存が可能です。

1-1.主な機能

  • 現在地のGPS座標取得(リアルタイム更新)
  • 手動での座標入力(DD形式/DMS形式対応)
  • 複数の測地系への一括変換
  • 座標系の追加・削除・並べ替え
  • 地図上での位置表示と2種類の座標系での値の確認
  • 変換結果のJSON形式での保存と管理
  • 平面直角座標系(1〜19系)への対応
  • ジオイドモデル(日本のジオイド2011 / 日本のジオイド2024)の切り替え

1-2.対応座標系

  • 地理座標系:
  • WGS84(世界測地系)
  • JGD2024B(日本測地系2024に2011年以降の地震地殻変動補正を自動的に適用した座標系)
    注意:実際には補正パラメータは市町村により適用範囲があるので参考程度に見て下さい。
    GeoDiveExaの機能名称であり、国土地理院とは何ら関係ありません。 参考:🗾 日本の測地系の変遷と実務対応:TOKYOからJGD2024Bまで
  • JGD2024(日本測地系2024)
  • JGD2011(日本測地系2011)
  • JGD2000(日本測地系2000)
    注意:実際には補正パラメータは市町村により適用範囲があるので参考程度に見て下さい。
  • Tokyo(日本測地系)
  • 平面直角座標系:
  • 上記各測地系に基づく平面直角座標系(1〜19系)
  • ジオイドモデル:
  • 日本のジオイド2011
  • 日本のジオイド2024

2.画面構成

アプリケーションは、画面下部のタブバーで切り替え可能な3つの主要画面で構成されています。

  1. 地図: 現在地を地図上に表示し、主要な座標値を確認します。
  2. 変換: 座標を一括変換し、詳細な結果を表示・保存します。
  3. 設定: アプリケーションの動作をカスタマイズします。

3.地図画面

現在地を地図上に表示し、選択した2つの座標系での座標値を確認できます。測量現場での概略位置の確認に便利です。

3-1.UI要素と基本操作

  • 地図表示エリア: Apple Mapsが表示され、青い円で現在地を示します。ピンチ操作で拡大・縮小が可能です。
  • 入力モード切替ボタン: 画面上部で入力ソースを切り替えます。
    • GPS: デバイスのGPSからリアルタイムで位置情報を取得します。(実機での使用を推奨)
    • シミュレータ: 開発・テスト用の固定位置(東京都庁)を使用します。
  • 座標情報エリア: 地図下部に2つの座標系での座標値が表示されます。
    • 第1座標系: 常にWGS84(世界測地系)の座標が表示されます。
    • 第2座標系: 「設定」画面で選択した座標系が表示されます。
  • ジオイドモデル切替ボタン: 座標情報エリア内の「ジオイド」ボタンをタップすることで、標高計算に用いるジオイドモデル(2011/2024)を即座に切り替えることができます。
  • 保存ボタン(カメラ):現在の座標と地図画面のスクリーンショットが保存されます。
  • 位置ボタン(矢印):GPS座標を画面中央にする動作のOn/Offを切り替えます。
  • 地図スタイルボタン:地図のスタイル(通常・航空写真・衛生写真)を切り替えます。

3-2.表示情報

各座標系で以下の情報が表示されます。標高は「楕円体高 – ジオイド高」で計算されます。ただし、iPhoneのGPS情報には楕円体高・ジオイド高はありませんので、ジオイドを2011/2024を指定して計算で楕円体高を求めています。

  • 座標値: 緯度・経度 または X・Y座標
  • 楕円体高: 準拠楕円体からの高さ(単位: m)
  • ジオイド高: ジオイド面までの高さ(単位: m)
  • 標高: 平均海面からの高さ(単位: m)

3-3.スクリーンショット保存形式

dataフォルダーにmap_hhmmss.txtとmap_hhmmss.png形式で保存されます。

地図スクリーンショット
時刻: 2025-11-14T13:18:19Z
WGS84座標:
38.276329°N, 140.874250°E
標高: 81.836 m
ジオイド高: 41.790 m

JGD2024B:
38.276329°N, 140.874250°E

地図スクリーンショット
時刻: 2025-11-14T13:18:24Z
WGS84座標:
38.274807°N, 140.877312°E
標高: 39.927 m
ジオイド高: 41.791 m

JGD2024B:
38.274807°N, 140.877312°E

4.座標変換画面

入力座標(点在地=GPS座標、入力座標)を最大10個の座標系へ変換する画面です。

取得または入力した座標を、複数の測地系に一括で変換し、結果の確認と保存ができます。

4-1.UI要素と基本操作

  • 入力モード選択: 画面上部で「現在地」または「入力」を選択します。
  • 座標系カード: 各座標系の変換結果が表示されるカードです。WGS84(基準)と必須座標系の2つは常に表示され、最大9個まで座標系を追加できます。合計12座標系=基準1+変換座標(必須1+9)10個
  • 座標系を追加ボタン: タップすると新しい座標系カードを追加します。
  • 座標保存ボタン: 画面下部にあり、現在の変換結果をJSONファイルとして保存します。

4-2.入力モードの選択

  • 現在地モード: 「現在地」ボタンを選択すると、GPSが有効になり、リアルタイムで位置情報が更新され、自動的に変換が実行されます。
  • 手動入力モード: 「入力」ボタンを選択すると、手動入力が可能になります。

4-3.手動での座標入力

  1. 入力モードで「入力」を選択します。
  2. 一番上の「WGS84」カード内にある鉛筆アイコンをタップします。
  3. 座標入力シートが表示されます。設定画面で選択した表示形式(DDまたはDMS)で入力します。
    • DD形式(度): 緯度: 35.681236, 経度: 139.767125
    • DMS形式(度分秒): 緯度: 35 40 52.45, 経度: 139 46 1.65
    • 高さ: 楕円体高をメートル単位で入力します(任意)。
  4. OKボタンをタップすると、入力した座標で全てのカードが再計算されます。

4-4.座標系の操作

a.座標系の選択・変更

  1. 変更したいカードの座標系名(例: JGD2011)をタップします。
  2. 表示されるリストから目的の座標系を選択します。
  3. 選択後、自動的に変換が実行されます。

b.平面直角座標系の系番号選択

  1. 座標系として平面直角座標系(例: jgd2024b_19)を選択します。
  2. カードの右側に表示される「○系」ボタンをタップします。
  3. 1〜19のリストから使用したい系番号を選択します。
  4. 選択した系番号で座標が再計算されます。

c.座標系の追加

  1. 画面を下にスクロールし、「座標系を追加」ボタンをタップします。
  2. リストから追加したい座標系を選択します。
  3. 新しい座標系カードがリストの末尾に追加されます(最大9個まで)。

d.座標系の削除

  • 削除したい追加座標系カードの右上にある「OFF」ボタンをタップすると、そのカードが即座に削除されます。
  • ※WGS84と必須座標系は削除できません。

4-5.変換結果の保存

  1. 画面下部の「座標保存」ボタンをタップします。
  2. 現在の変換結果一式がJSON形式のファイルとして、デバイス内に保存されます。
  3. 保存先: ファイルアプリ > このiPhone内 > GeoConverterPro > data > YYYYMMDD > conversion.json

4-6.保存ファイル形式

[
  {
    "convertedCoordinates" : [
      {
        "altitude" : 64.88517607480617,
        "geoidHeight" : 40,
        "latitude" : 38.277158631933936,
        "longitude" : 140.8701067940632,
        "type" : "jgd2024b"
      }
    ],
    "inputCoordinate" : {
      "altitude" : 64.88517607480617,
      "geoidHeight" : 40,
      "latitude" : 38.277158631933936,
      "longitude" : 140.8701067940632,
      "type" : "wgs84"
    },
    "timestamp" : "2025-11-13T13:49:04Z"
  },
  {
    "convertedCoordinates" : [
      {
        "altitude" : 93.25894026005165,
        "geoidHeight" : 40,
        "latitude" : 38.276574162520525,
        "longitude" : 140.87364655650592,
        "type" : "jgd2024b"
      },
      {
        "altitude" : 89.6778197208015,
        "geoidHeight" : 41.790560269625075,
        "type" : "jgd2000_19",
        "x" : 647121.0995123333,
        "y" : 996617.1235452103,
        "zoneNumber" : 1
      }
    ],
    "inputCoordinate" : {
      "altitude" : 93.25894026005165,
      "geoidHeight" : 40,
      "latitude" : 38.276574162520525,
      "longitude" : 140.87364655650592,
      "type" : "wgs84"
    },
    "timestamp" : "2025-11-13T13:49:09Z"
  }
]

5.設定画面

アプリケーションの表示形式や動作に関する設定を行います。

5-1.UI要素と設定項目

a. 座標表示形式

座標値の表示スタイルを選択します。この設定は、地図画面、変換画面、手動入力時のフォーマットに影響します。

  • 度分秒(DMS): 35°40'52.45"N の形式で表示されます。
  • 度(DD): 35.681236°N の形式で表示されます。

b. ジオイドモデル

標高計算に使用するジオイドモデルを選択します。測量対象の地域や時期に応じて適切なモデルを選択してください。

  • 2011: 日本のジオイド2011
  • 2024: 日本のジオイド2024
  • ※標高 = 楕円体高 – ジオイド高 のため、この設定は標高値に影響します。

c. 地図画面の設定

入力モード

地図画面でデフォルトで使用する位置情報ソースを選択します。

  • GPS: 実際のGPS位置情報を使用します。
  • シミュレータ: 固定位置(仙台周辺)をテスト用に使用します。
第2座標系

地図画面でWGS84と並べて表示する、もう一つの座標系を選択します。平面直角座標系の場合は、使用する系番号も指定できます。

5-2.設定の保存

  • 画面右上の「設定保存」ボタンをタップすると、現在の設定がデバイス内に保存され、次回起動時にも適用されます。
  • 保存しない限り、変更は一時的なものとなります。

5-3.座標系について

a.地理座標系

地球上の位置を緯度・経度・高さで示す座標系です。

  • WGS84(世界測地系): GPSが基準とする世界共通の測地系。本アプリでは入力の基準となります。
  • JGD2024(日本測地系2024): 2024年時点の最新の日本の測地系。WGS84に極めて近い値となります。
  • JGD2011(日本測地系2011): 2011年の東日本大震災による地殻変動を反映した測地系。
  • JGD2000(日本測地系2000): 2002年に導入された世界測地系に準拠した測地系。
  • Tokyo(日本測地系): 2002年まで使われていた旧測地系。過去の図面等との比較に用います。

b.平面直角座標系

日本の国土を19のゾーン(系)に分割し、各ゾーンを平面とみなしてX,Y座標で位置を表す座標系です。長距離の歪みを抑えるために分割されています。公共測量や各種工事で広く利用されます。

c.系の分布

  • 1系: 長崎県(一部)、沖縄県(先島諸島)
  • 2系: 福岡県、佐賀県、長崎県(大半)など
  • 3系: 山口県、島根県、広島県(一部)など
  • 4系: 香川県、愛媛県、高知県など
  • 5系: 兵庫県、岡山県、鳥取県など
  • 6系: 京都府、大阪府、奈良県など
  • 7系: 福井県、石川県、岐阜県など
  • 8系: 新潟県、長野県、富山県など
  • 9系: 東京都(本州)、埼玉県、千葉県、神奈川県、山梨県など
  • 10系: 青森県、岩手県、秋田県など
  • 11系: 北海道(道南・道央)
  • 12系: 北海道(道東)
  • 13系: 北海道(道北)
  • 14系: 東京都(伊豆諸島・小笠原諸島)
  • 15系: 沖縄県(本島)
  • 16系: 沖縄県(大東諸島)
  • 17系: 沖縄県(宮古島など)
  • 18系: 東京都(沖ノ鳥島・南鳥島)
  • 19系: 沖縄県(与那国島)

6.トラブルシューティング

6-1.位置情報が取得できない

  • 症状: 地図画面や変換画面で「位置情報取得中…」のまま進まない。
  • 対処法:
    1. iOSの「設定」アプリを開きます。
    2. プライバシーとセキュリティ > 位置情報サービス に進みます。
    3. 一覧からGeoConverterProを探し、このAppの使用中のみ許可を選択します。
    4. アプリを再起動してください。

6-2.シミュレータで位置情報が取得できない

  • 症状: シミュレータモードでも位置が表示されない。
  • 対処法: 「設定」画面で「入力モード」が「シミュレータ」に設定されているか確認し、「設定保存」をタップしてください。

6-3.座標変換結果が「変換中…」のままになる

  • 症状: カードに計算結果が表示されない。
  • 対処法:
    1. 手動入力の場合、入力した座標値(特に緯度・経度)が日本の範囲内であるか、形式が正しいか確認してください。
    2. 平面直角座標系の場合、対象地域に適した系番号(1〜19)が選択されているか確認してください。不適切な系番号では計算できない場合があります。
    3. アプリを一度完全に終了し、再起動してみてください。

6-4.保存したファイルが見つからない

  • 対処法:
    1. iOSの「ファイル」アプリを開きます。
    2. ブラウズタブでこのiPhone内を選択します。
    3. GeoConverterProフォルダ > dataフォルダ > YYYYMM(年月)フォルダの順に開くと、日付名のJSONファイルが見つかります。

6-5.DMS形式で入力したいのにDD形式の入力欄が表示される

  • 対処法:
    1. 「設定」画面に移動します。
    2. 「座標表示形式」を「度分秒(DMS)」に変更します。
    3. 右上の「設定保存」ボタンをタップしてから、変換画面に戻って入力操作を行ってください。

6-6.平面直角座標系の系番号ボタンが表示されない

  • 症状: カードに「○系」ボタンがない。
  • 対処法: 系番号の選択は、座標系名に「_19」が含まれる平面直角座標系(例: jgd2024b_19, jgd2011_19)でのみ可能です。地理座標系(例: wgs84)では表示されません。

6-7.標高が期待値と異なる

  • 対処法:
    1. 「設定」画面で、測量対象地域や使用するデータに合ったジオイドモデル(2011/2024)が選択されているか確認してください。
    2. 入力した「高さ」が標高であることを確認してください。楕円体高を入力しても正しい計算はできません。
    3. 設定変更後は必ず「設定保存」をタップしてください。

6-8.アプリが起動しない、または頻繁にクラッシュする

  • 対処法:
    1. マルチタスク画面からアプリを完全に終了させてください。
    2. デバイス(iPhone)を再起動してください。
    3. 上記で解決しない場合は、アプリを一度アンインストールし、App Storeから再インストールしてください(保存したデータは失われる可能性があります)。

7.付録

7-1.ファイル構造

Documents/
  ├── data/           # 変換結果の保存先
  │   ├── 20251114/           # 年月日フォルダ
  │   │   ├── conversion.json # 変換座標データ(1日1ファイル)
  │   │   ├── map_150115.txt # スックリーンショット座標
  │   │   └── map_150115.png # スックリーンショット画像
  │   └── 202512/
  │   │   ├── conversion.json
  │   │   ├── map_100125.txt
  │   │   └── map_100125.png
  └── config/               # 設定ファイルの保存先
      └── settings.json

7-2.設定ファイル形式(settings.json)

{
  "coordinateDisplayMode" : "DD",
  "geoidModel" : "2011",
  "mapInputType" : "Simulator",
  "mapSecondCoordinate" : {
    "type" : "jgd2024b",
    "zoneNumber" : 0
  }
}

8.お問い合わせ

本アプリケーションに関するご質問・ご要望は、開発者またはサポート窓口までお問い合わせください。


GeoConverterPro 操作マニュアル
バージョン: 1.1
最終更新日: 2025年11月15日

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